終わりと、はじまり。

2017年08月17日

終わりと、はじまり。

一勝と、3つの敗北。

ウサイン・ボルト選手の引退で注目が集まった、【世界陸上 2017@ロンドン】。
日本勢はと言えば、期待も虚しく、獲得したメダルは3個。
多くの課題を残す大会となった。
世界陸上初となるメダル(銅メダル)を獲得した100m×4リレー。
最終日、なんとか一矢報いた、男子50キロ競歩では、リオオリンピックのメダリスト(銅メダル)荒井広宙選手が銀メダル、小林快選手が銅メダルを獲得した。

「1勝3敗」とでもいうのであろうか。
10000mで見事な金メダルを獲得したイギリスの英雄モハメド・ファラー選手。
2種目制覇を目指した5000mでは銀メダル。
100mで銅メダルに終わったウサイン・ボルト選手。
最後の花道を飾るはずだった、リレーではまさかの途中棄権。
これが今大会、最も注目された、二人のスーパースターのトラック競技でのフィナーレだ。
コンディションが不安視されていたボルト選手はなんとなく、予感はあった。
しかし、最後のリレーで途中棄権は想像出来なかった。
ある意味で、どこまでも、我々の想像をはるかに超えたサプライズを起してくれる。

予想外だったのは、モハメド・ファラー選手だ。
昨年、リオデジャネイロ五輪ではレース中に転倒しながら連覇を達成したことは記憶に新しい。
私の好きなスポーツ選手の一人である。
一度、彼の走りを見たら誰もが虜になるような、そんな惚れ惚れする選手の一人だ。
驚異的なラストスパートには、この競技の概念を覆させられ、何度も度肝を抜かれた。
そんなファラー選手の活躍に黙っちゃいられない、アフリカ勢はいつしか、チーム総動員で彼を囲み、阻止する。
【ファラー包囲網】なるものを毎試合、決行した。
それでも、これまでは、その包囲網を掻い潜り、幾度のビックタイトルを手にしてきた。

今回の10000mも例外でない。
ファラー選手の最大の強みは、前にも述べた、「ラストスパート」にある。
9900mを必死に走り、最後の100mを彼はなんと【12秒台】で走ってしまうこともある、、、。
12秒台、、、。
ちょっと考えられない、、、。
ファラー選手のレースを観たことある人ならわかるだろうが、ちょっと違う。
一流アスリートの中でも、一人、次元の違うラストスパートを魅せる。超一流アスリートだ。

鬼気迫る形相で挑むレースとは裏腹に、実に家庭的な一面を持つことでも有名である。
その証に、オリンピック、世界陸上とこれまで獲得してきた金メダルには三人の子供たちに捧げた。
そこに綺麗に一人一人の名前が刻印されていた。
今回でトラック競技を去るのも、家族のため。
遠征の多いトラック競技では、家族との時間が少なすぎる。
今の自分があるのは家族のため。といい、家族との時間をもっと増やすためにトラックを去る。
最後のトラック競技、10000mで金メダルを獲得し、このメダルは奥さんへ送るものだろう。
話が出来すぎているとは思わないだろうか。
となれば、最後の5000mは、【自分への金メダル】より他ならない。

最後のレース。
固唾を呑んで見守る観客。異様な空気感の中でレースはスタートした。
レース序盤。
私自身、これまでのファラー選手のレースとは明らかに違う、【異変】に気付いた。
スローペースで進むレース展開に、痺れを切らしたのか、序盤からファラー選手が先頭に立つのだ。
これまで、幾度も彼のレースを観てきたが、こんな光景は初めてだった。
(金メダルを獲得したほとんどのレースで、彼は序盤から中盤、終盤に差し掛かるまで最後尾からレースを見守る)
「あれ?なんかいつものファラーと違う」
そんな違和感があった。

それでも、心のどこかでは、【最後のレースでさらに進化した自分を魅せ、ぶっちぎりで勝とうとしてるのか!?】
と期待せずにはいられなかった。
しかし、その思いとは裏腹に、後方との差は広がらぬままラスト一周へ。
エチオピア勢に一斉にスパートをかけられたが、なんとか喰らいつく。

最大の見せ場は【ラスト100m】
小さな身体からは想像出来ないほどの躍動感溢れる、ラストスパートでいつものように「スルスル」と包囲網を掻い潜ってくるものと確信していた。

が、しかし。
ファラーが負けた。
最後に笑ったのはファラー選手ではなかった。
エチオピアの新生、ムクタル・エドリス選手。23歳だった。
悲壮感溢れる表情でトラックに倒れこむファラー選手。
私は見ていられなかった、、、。
ファラー選手がトラック競技で負けるのを見たのは初めてだ。
まさかそれが最後のレースで起きるとは思ってもいなかった。

敗因はなんだったのだろうか。
こんなにも偉大な選手でも、最後の最後に自分を見失ってしまったのか。
それはわからない。
ただ明らかに、これまでの【ファラーのレース】ではなかった。
世界で戦うことはやはり、半端ではない。つくづく感じる。
特にこういった、陸上競技。
中でも、スピード競技は別格だと思う。
その中で、長年第一線で活躍し続けること。
引退するウサイン・ボルト選手も含め、我々一般人は凄いとしか言いようがない。
しかし、ファラー選手には、これまで素晴らしい景色を見せてもらった。
感謝したい。

ウサイン・ボルト選手の引退、敗北。
そしてモハメド・ファラー選手のトラック競技ラスト。
これでまた一つの時代が終わる。

まあ、しかしそれは必然だ。

それにしても、その度に思う。

勝負の神様は、いつも気まぐれで残酷である。

最後に観たい景色を見せてはくれない。

またそれがスポーツの魅力でもあるが、、、。

さあ、次はどんな時代の幕が開けるのか。
この目で確かめたい。
きっと、そこには日本勢の活躍があることを願いたい。

ファラー選手の、自分への金メダルは、きっと次の舞台(マラソンに移行)で獲得するだろう。

 

大きな可能性を感じる【競歩】

一方で、注目の日本勢は、なかなか思わしい結果は出せなかった。
東京オリンピックへ大きな課題となる大会になったのではないだろうか。

そんな中でも、明るい話題は、【男子50キロ競歩】ではないだろうか。
今回、私は密かにこの男子競歩を注目していた。
というのも、前回のリオデジャネイロ五輪の時に、荒井選手が銅メダルを獲得したことがきっかけでもある。
その時はハイライト映像しかほとんどいたことがないが、今回はレース(男子50キロ競歩)のほとんどをライブで観た。
実に3時間以上かかるレースの中で、日本人3選手が大活躍をする。
冒頭に挙げた、荒井広宙選手が銀メダル、小林快選手が銅メダル、さらには初出場の丸尾知司選手が5位という全ての選手が素晴らしい活躍をした。
日本勢の活躍も、もちろんそうだが、この競技、非常に興味深い。
おそらく、馴染みのない方々が、多いのではないだろうか。
私もその一人である。
素人目ながら、この競歩という競技に私は、大きな可能性を感じずにはいられなかった。
可能性というのは、日本勢が世界で活躍することを意味する。

先ずは、49人が参加した今回の男子50キロ競歩。
なんとその中で、16人もの選手が、失格(ペナルティ)、途中棄権等で、ゴール出来ていない、、、。
驚いたが、実はそんなに珍しいことでもないらしい。
レース途中から、上位にいた海外勢がどんどん、、、途中離脱していく。

素人ながらに、途中から私は、ふと思い始めた。
これは日本の【お家芸】となるのではないだろうか。

その理由は、次回紐解く。

 

※写真は、ボアスコンプラスでも扱う、アグリナ2017秋冬の新作です。
http://www.agrina-s.com/

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