雪月花(後編)

2017年03月16日

雪月花(後編)

【予想外】といったら失礼だが、WBCが盛り上がっている。
当初、ここまでの盛り上がりは、私自身予想出来なかった。
なぜなら日本代表は、ほとんどのメジャーリーガーの招集を見送っていたからだ。
他国もてっきりそうだろうと思って、半信半疑でWBCの行方を見守った。
ところが、蓋を空けてみてビックリ。
【世界一を決める大会】にふさわしいプレーの数々に、野球(baseball)が世界的にどんどん広がっていく様が手に取るようにしてわかる。

日本と対戦したオランダのショートを守るエンゼルスのシモンズ選手。
メジャーでもすでにゴールデングラブ賞を2度受賞するスーパースター。
名前は知っていたが、始めて画面を通してそのプレーを拝見したが、素人目にみても明らかにレベルが違う。
全く動きに無駄がなく、どのプレーを取っても超一流。
日本のセカンド菊池選手も負けてはいない。
オランダ戦の7回に魅せたスーパープレーはこの先、おそらく語り継がれるだろう。

いずれにせよ、日本代表にとってはここからが本当の勝負。
プエルトリコ、ベネズエラ、ドミニカ、アメリカ、、、。
どこのチームが準決勝に上がってきても激戦は必至。とにかく楽しみである。

 

さて、話題を戻そう。
WBCの盛り上がりももちろんそうだが、あと1年もしないうちに平昌での冬季オリンピックがやってくる。
低迷期をが続く、スキージャンプ陣。
やはり復調の鍵を握るのはこの二人なのだろうか。

 

 

彗星の如くあらわれた少女

日本のスポーツ界においてあまり浸透していない競技の一つに挙げられる【女子ジャンプ】
長野オリンピックでの男子ジャンプ陣の活躍以降、ウィンタースポーツ界も一時は賑わいをみせた。
しかし、前編でも述べたように、ルール改定等もあり、順応出来なかった、日本勢はその後のオリンピックで日の目を見ることはなかった、、、。

そんな中、2012年突如として現れたのが、当時若干16歳の一人の少女だった。

高梨沙羅

今や世界で活躍する日本人アスリートの顔と言ってもいいほどだ。

2010年に出場した世界大会では6位入賞、翌2011/2012シーズンではワールドカップで日本人女子にとって初優勝。
そのシーズン、ワールドカップ個人総合3位の快挙を成し遂げる。
翌2012/2013シーズン。
彼女の前に敵はいなかった。
ワールドカップ16戦中8戦で優勝。
15戦目、残り2戦を残し圧倒的な強さで総合優勝を飾った。

小さな体から想像も出来ないほどのダイナミックかつ美しい飛型は多くの人を魅了した。

そんな無敵の高梨選手だったが、記憶に新しい2014年ソチオリンピック。
優勝間違いなしと言われて臨んだ初のオリンピック。
まだ18歳の彼女に世間のかけるプレッシャーは容赦ないものだった。
不運だったのはそれだけではない。
ジャンプには不利とされる追い風が彼女を襲う。。
その分、加点されるものの、元々追い風が苦手な彼女は1回目、2回目のジャンプ共に、本来の調子からはかけ離れた、失敗ジャンプを並べてしまった。
そのシーズンのワールドカップでも圧倒的な力で総合優勝した彼女だが、初のオリンピックでの結果は【4位】
実力から考えれば決して満足できる成績ではない。
自然に大きく左右される競技だからこそ、運に見放されることもある。
ある意味では仕方のない部分でもある。
そんな中、虚ろな表情でインタビューを受ける高梨選手。
彼女のそんな姿を初めてみた気がした。周りからのプレッシャーからくるものだったのだろうか、、、。
それでもインタビューでは

【本当に実力があれば(風)関係ない。ただ実力がなかっただけ】

と言った。

それから時は経ち、ついに今シーズン歴史に名を刻む。
重ねに重ねたワールドカップでの勝利数は【53】
歴代最多タイ記録だ。(男女合わせて)
今シーズンでの記録更新はお預けとなったが、実力からいって記録更新はまず間違いないだろう。

おそらく、平昌オリンピックでは、前回以上のプレッシャーが高梨選手に重くのしかかる。
好調な伊藤選手とのワンツーフィニッシュ。
世界ランキング1位の圧倒的な強さ。
前回オリンピックでの雪辱。
全てを跳ね除けて、頂点に立つことが出来るのか。
神のみぞ知る。

http://www.saratakanashi.com/

 

世界のレジェンド

もう一人、忘れてならないのはこの選手だろう。

葛西紀明

44歳不屈のジャンパーである。

以前、紹介した黒田博樹選手同様、どちらかというと記録よりも記憶に残る選手の一人だと思う。
19歳の時に初出場したアルベールビルオリンピックを皮切りに、以来、リレハンメル、長野、ソルトレイクシティ、トリノ、バンクーバー、ソチと実に7度のオリンピックを経験している。

長野オリンピックでは、岡部、斉藤、原田、船木の史上最強ジャンプ陣の控えに甘んじる。
7度のオリンピック出場もソルトレイクシティでの団体銀メダル、ソチでの個人初となるメダルは銀メダル。団体は銅メダル。

輝かしい記録というよりも、不屈の闘志で掴み取ったメダルといった方がいいかもしれない。
個人で取った初のメダルは日本オリンピック史上、最年長記録でもある。

 

イチロー選手は43歳でバリバリのメジャーリーガー。
三浦和良選手は先日、なんと50歳でJリーグでゴールを決めてしまった。

レジェンド葛西選手はカズ選手に影響を受けているという話もきく。

 

葛西選手も含め、共通していえることは
競技をしていく上で、【年齢は一つの数値】でしかない。
ということではないだろうか。。
向上心を持ち続け、どんな時でも、情熱を持ってその競技と向き合うことで、年齢なんてものは超越する。

 

今期はなかなか、調子が上がらず、ワールドカップでも10位が最高順位。
それでも、日本ジャンプ陣を牽引するレジェンドは前人未到の8度目のオリンピックを目指す。

本当に様々な苦難、苦悩を乗り越えて、シーズン毎、圧倒的な強さを発揮するわけもなく、苦しい戦いが毎年毎年訪れる。
これまで、ワールドカップでの優勝回数は17回。
ワールドカップは毎シーズン20試合前後あるわけであって、、、。
負けている試合の方がはるかに多い。
それでも、飛び続ける。戦い続ける。挑み続ける。
その姿勢こそが、【レジェンド葛西】の所以ではないだろうか。

8度目のオリンピック出場があるのなら、【KAMIKAZE KASAI】のジャンプを静かに見届けたい。

 

 

欲を言えば、高梨・葛西のアベック表彰台。

この目にその光景を見ることが出来たなら、幸甚だ。

 

http://ameblo.jp/nori66nori/

 

 

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