第95回全国高校サッカー選手権大会
2017年01月17日
『うつ向くなよ~振り向くなよ~♪
君は美しい~
戦いに敗れても~
君は美しい~♪』
サッカー小僧なら誰もが一度は耳にしたことのあるこの曲が流れると、
『あー、今年もこの季節がやってきたなー。』と感じる。
正月の風物詩-全国高校サッカー選手権大会。
第95回を迎える今大会は、20大会連続出場の青森県代表の青森山田高校が悲願の初優勝で幕を閉じた。
ここ5大会を振り返っても、実に4大会が初優勝チーム。
まさに高校サッカーは新たな時代の幕が開けた。
言ってみれば、どこの県のどこの高校にも優勝の可能性があるといっても過言ではない。
実際に今大会はベスト4に残った全ての高校において優勝すれば初優勝だったわけで、、、。
ほんと凄い時代になったなー。とつくづく感じます。
ここ数大会、常に優勝候補に挙げられながら、勝ちきれなかった青森山田高校のサッカーはまさに圧巻。
直前の高円宮杯U-18サッカーリーグ2016(チャンピオンシップ)を制し、磐石の体制で挑んだ今大会。
http://www.jfa.jp/match/prince_takamado_trophy_u18_2016/
初戦から、他の追随を許さない戦いぶりで唯一、『危なげない』戦いで勝ちあがったチーム。
私自身も、今大会、1試合だけ青森山田の試合を生で観戦し(3回戦の宮城県代表聖和学園戦)、その成熟された完成度の高いサッカーには、高校生らしからぬ、『落ち着き』と『自信』に満ち溢れているようだった。
ふと、私は自身の経験を思い出した。
私が高校三年(浦和東高校)の、新チーム発足時の全体ミーティングで監督が全部員に配った新聞の切り抜き。(確か当時は部員は200人近くいた)
そこには、その年、選手権で優勝した国見高校(長崎県)の記事があった。
『他のチームは知らないが、僕らは間違いなくサッカー漬けの毎日だった』
今でも忘れられません。
勝者の言葉は、どんな専門家の意見よりも説得力があり、重みがある。
この一文にアンダーラインが引かれ、そこから1年間、猛練習の日々。
史上最弱の代と言われ、とにかく走る走る、、、、。
結局、埼玉県予選ベスト4で敗退してしまいましたが、あの頃の経験は社会人になった今でも生かされてます。
きっと、青森山田高校も当時の国見高校同様、サッカー漬けの毎日だったのでしょう。
いや、それ以上かもしれません。
あの頃、本気でサッカーと向き合って、本気でみんなで選手権を目指し、それでも叶わなかった舞台。
悔しくて、悔しくて、引退しても数年は高校サッカーを観ることが出来ず、、、。
しかし今は、一ファンとして正月に高校サッカーを観ることが楽しみでたまらない。
さて、話題を戻し、今大会青森山田はもちろん、その他で一番印象に残ったのは、栃木県代表の『佐野日大高校』
5バックを貫いた佐野日大の前評判は決して良いものではなく、戦前の評価(A,B,C)をつけるならば『B-』が妥当なところではないか。
それでも今大会快進撃を続け、チームはベスト4まで勝ち上がった。
準決勝では残念ながら、隣県の古豪前橋育英高校(群馬県代表)に敗れはしたが、その戦いぶりは目を見張るものがあった。
失礼ながら私自身は大会を通して、その存在を知った。
試合を重ね、SNS上では『佐野日大マグナ』半端ない。と話題になったぐらい。
46歳海老沼監督率いる佐野日大は、統率された守備と研ぎ澄まされた攻撃で快進撃を続けた。
しかし、ベスト4までの道のりは順風満帆ではなく、新人戦、関東大会、インターハイでは県内でも結果が出せず、険しく、長く暗いものだった。
選手権大会出場を獲得するために、監督の出した決断は『守備から入る』ことだった。
攻撃サッカー、パスサッカーをしたい選手とそれでは勝てないと思う監督、、、。
受け入れがたい現実に戸惑い、やりたいサッカーをするのか。結果を出すサッカーをしたいのか。
もちろん、選手は勝ちたい。
選んだのは後者だ。
選手は監督を信じ(佐野日大では監督ではなく、先生と呼ばせるらしい)、そのスタイルを貫いた。
徐々に結果が出始めると彼は自信をつけ、そのスタイルにさらに磨きがかかった。
今大会を観るだけでも、明らかにその成長は試合を重ねるごとに増した。
しかし、ただ守るだけでないのが彼らのスタイル。佐野日大には選手全員に研ぎ澄まされた得点感覚があった。
その中心は、佐野日大の頭脳『10番』長崎選手だ。
記事によれば、大会後は、サッカーを辞め、医師(スポーツ整形外科医)を目指すという、、、。
天は二物を与えた。
失礼ながら、プレーを見た限り、スピードがあるわけでもなく、身長が高いわけでもなく、物凄いシュート力があるわけでもない。
それでも、彼はFWとしてゴールという最高の形で試合を決める。
チームに勇気を与える。
類稀なファーストコントロールと、絶妙なポジショニング。
なにより、その研ぎ澄まされた得点感覚。
仲間が必死になって守り、繋いだボールを彼は決める。
そこに高校サッカーのドラマを感じる。
キレイごとではなく、その一蹴には、これまで戦ってきた仲間の思いが込められているようにも感じ取ることが出来る。
あー、やっぱり高校サッカーっていいな。
佐野日大をみていると、そんなことを思わせてくれる。
それでも、佐野日大の戦いぶりには、世間からは冷ややかな視線も注がれた。
『ただ守るだけのチーム』
いつからだろうか、、、。
魅力的なサッカーはいつも攻撃的で、華麗なパスワークを駆使し、相手を翻弄する。
確かに、観ていて面白い。
でも、中には相手の攻撃に耐えに耐えて、少ないチャンスをとくかく大事に相手を射止める。
守り一辺倒で勝つチームを評価する。
文化があってもいいと個人的には思ってしまう。
守り抜いて勝つことの難しさは想像以上だ。
彼らはその難しさを受け入れた。
そしてそれを結果という最高の形で体現した。
大袈裟かもしれないが、佐野日大の戦いぶりには、日本サッカーの未来であり、サッカー本来の在るべき姿を垣間見ることが出来た。
こういうチームが出てくることによって、それを打ち破る『ストライカー』が出てくるわけで、、、。
ストライカー不足と言われる日本サッカー界には朗報ではないだろうか。
そんな佐野日大高校に賞賛を送りたい。
他にも今大会はチームごとに色んな特徴があってとても面白かった。
準優勝の前橋育英高校は伝統校らしい、統一された守備とどのポジションでもハードワークする姿勢、とにかくひたむきにボールに向かっていく姿には脱帽する。
毎年、全国大会で上位に残るのはさすがとしか言いようがない。
ベスト4まで残った東海大仰星高校は前線からの激しいプレスと全員がファイトする姿勢。
1対1の強さ、球際の厳しさには、サッカーの本質を思い出した。
埼玉代表として応援していた正智深谷高校は試合を重ねるごとに完成度を高め、細かいパスワークから幾度もチャンスを演出し、なにより最後の最後まで絶対に諦めない姿勢には感動した。
他にも優勝候補として挙げられ連覇を狙う東福岡高校はベスト8で涙をのみ、最後のロッカールームでは監督が「お前らのプレーはチャラいんだよ。」と最後の最後まで厳しさを貫く姿勢は選手に対する愛を感じた。
夏のインターハイを制した市立船橋高校は鉄壁の守備と高い個人能力で観衆を魅了し、無失点(3回戦0-0のPK戦で敗れる)のまま、大会を去った。
圧倒的な存在感と抜群のキレでフィールドを駆け回る、京都サンガ内定のU-18日本代表岩崎悠人選手率いる京都橘高校は市立船橋との激戦に敗れた。
結局、岩崎選手は3年間選手権に出場しながら無得点に終わった。
プロでの活躍を期待したい。
たった一つの栄冠を掴み取るために、出場48校にはそれぞれの歩んだ三年間がある。
いや、48校だけではない。
地区予選で敗れた全ての高校にその三年間がある。
仲間と共に戦った三年間。その先に、彼らは何を見たのだろうか。
そして、来年はどんなドラマが待ち受けているのだろうか。
戦いはもう、始まった。
(2016年12月30日鹿島学園OBと鹿島学園対高川学園を観戦@三ツ沢競技場)
いかがでしたか、中村昌哉コラボコラム?中村昌哉コラムについてはこちらから
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