前途多難のちの。

2017年09月08日

前途多難のちの。

日本代表のボール支配率、38%弱に対して、オーストラリア代表は61%強。
シュート数は日本代表が18本に対して、オーストラリア代表はわずかに5本。
結果は、2-0で日本代表の勝利。
見事に6大会連続のW杯出場が決まった。
ホームの大観衆をうけ、これまで最終予選の初戦を落としたチームは未だかつて、予選を勝ち抜いたことがない。
というジンクスをも破り、見事な勝利だったように思える。
長い最終予選をみてきて、大一番で【予選で一番の出来。ほぼ完璧】ともいえる勝利だったのではないだろうか。
データだけみれば、60%以上は、オーストラリア代表がボールを支配していたわけであるが、試合全体をみれば、ほぼほぼオーストラリア陣内で試合は行われていたように思う。
つまり、日本代表の前線からのハードワークが見事にはまり、高い位置でボール奪取し、効率良くシュートまで持っていけたことが大きい。
対するオーストラリアは、ゴールキックはほとんどロングボールを使わず、終始繋ぎに徹していたように思う。
最終予選の前に行われていたコンフェデレーションズ杯からの戦いをみれば、オーストラリアが目指すサッカーが少し変化してきているのは一目瞭然だった。(所謂、ポッゼッションサッカーとでもいうのか)
しかし、結果論だか、今回はそれが裏目に出た。もっと、ロングボールを多様し、日本のゴールに襲い掛かってきていれば、結果はまた違うものになっていたかもしれない。
おそらく日本の中盤でのプレスには相当、衝撃を受けたんじゃないだろうか。
果たして、これが日本代表の戦い方の基準となるのか。
W杯を勝ち抜くために、どんな戦術を駆使し、どんな選手が活躍するのか。とても楽しみだ。

【人々が求める数】
ここ、大人の学校でタレントの武井壮さんは語る。
http://www.otonanogakkou.jp/
ここでの言葉を借りるなら、【価値】は【人々の求める数】で決まる。ということ。
陸上十種競技で日本一にも輝いた武井さんが語ると、ああ、なるほどな。と思う。
「大人の育て方」の授業。是非、一度みてもらいたい。実に面白い。
日本のスポーツ界にまさに一石を投じる内容となっている。


そういった意味でいうと今回、取り上げる『競歩』というスポーツは、残念ながら、まだまだ「求める数」は少ない。
しかし、私は今回の世界陸上をみて、この競技が如何にして日本人に合っているのか。
を見つけ出したように思える。
【価値】を生むために必要なのは、もちろん、【求める数】であることは承知だ。では、求める数を増やすには、何が必要なのか。色んな要素があるだろう。
その一つには、日本のトップ選手が世界で【結果】を出すこと。これは絶対に必要なことである。
考えてみてほしい。
各スポーツのオリンピック、世界大会、等々、、、。
日本のメディアが取り上げるのは、ほとんどがメダリストだ。
かつて、こんな話を聞いたこともある。
オリンピックで帰国してきた選手団は、【メダリストグループ】と【そうでないグループ】に分けられ、前者はそのまま、多くのメディア、ファンに囲まれ祝福され、記者会見へ。
一方、後者はそのまま帰路へ。
あまりに残酷な現状が待ち受けている。

失格の多い競技がゆえに 

前回も述べたように、競歩という競技は実に失格が多い。今回の世界陸上をみても、49人中、16人もの選手が、失格(ペナルティ)、途中棄権等で、完走出来ていない。(日本人選手は3名とも完走、好成績をおさめている)
今回を機に、色々と調べてみた。
先ず、ルールに関して、これは知らない人も多いのではないだろうか。
①【ロス・オブ・コンタクト】
左右どちらかの足が常に地面についていること
※所謂、走る時のようにジャンプした時のような状態が一瞬たりともあってはならない。
これに関しては、なんとなく事前知識はあった。
もう一つ、
②【ベント・ニー】というルールがある。
前足は地面に着く瞬間から足が地面と垂直になるまで膝をのばす
※所謂、前足は地面にある間、常に伸ばし続けなければならいのだ。
これがあの特徴的なフォームでの歩き方に繋がるわけである。納得できる。
厳正なルールの下、そのフォームを3-6名の審判団が一歩一歩、監視し続ける。
疑わしい行為には、【黄色いパドル】が提示され、反則行為に触れたものには【赤色のパドル】が提示される。
黄色いパドルに関しては、何度提示されても問題はない。(問題ないと言うのは御幣かもしれないが、要は失格にはならない。)
赤いパドルが3回、もしくは3名の審判から提示された場合、失格となる。
また、主任審判の判断で一発失格が下された時点でもレースは終了となる。
ラストの競り合いの中で、一発失格となるケースも多々ある。
ある意味で、陸上競技の中では、最も過酷な競技ともいえる。
陸上競技の種目の中で競歩だけが、唯一の判定種目ということもあり、失格が多いことも頷ける。
この「判定種目」、厳正なルールこそが競歩の最大の特徴であると感じた。
そこに、日本人の適性がマッチしていることがわかる。

正確性と忍耐力

短距離走では、爆発的な「スピード」
中・長距離では、「スピードとスタミナ」
跳躍競技、投てき競技では、圧倒的な「パワー」
このあたりが主に必要になってくる。
では、どうだろうか。
日本人の特徴として、スタミナはさておき、「スピード」と「パワー」これが秀でている競技はあるだろうか、、、。
これは陸上競技に限らずとも。
サッカーでいえば、身体能力の高いヨーロッパ、南米、アフリカ勢にはまだまだ対向出来ない。
緻密な戦術と、巧みなボールコントロール。規律を重んじるハードワークで海外勢に対向する。
野球もそうだろう。
徹底したデータ管理と、それぞれがチームのために己を犠牲にし、勝利のために遂行する。
アメリカやベネズエラ、プエルトリコやオランダのように圧倒的なパワーを駆使したスタイルでは戦わない。
まさに「スモールベースボール」で対向するのだ。
バレーボール、バスケットボールも海外の大きな選手には、身体能力で勝てない。
これは、日本におけるスポーツ教育の背景、身体的特徴にも影響しているので、善し悪しはさておきたい。

では一体、『競歩』という競技の中で、何が必要なのか。
念密に言えば、計り知れないほどの様々な要素は必要だろう。

ここはあえて、素人目線で言わせてもらえば、
先ず、この競技において、『完走すること』これは絶対条件である。
そのためには、ルールを忠実に守り、その上でスピードを強化すること。
いわば、【正確性】が求められる。
日本の「ものづくり」を想像してみてほしい。
典型的なもので言えば、電化製品や車。
高い技術力で日本のメーカーは海外の人々を唸らせてきた。世界から非常に高い評価を受けている。
改善、改良を繰り返す日本のものづくりには妥協がなく、より精度の高いものが完成される。
正確性に優れている。

もう一つ、絶対的に必要な要素は【忍耐力】である。
3時間以上に及ぶ、過酷なレースにはこれは絶対条件である。
国民性の中に【忍耐力】は養われている。
思い返してみると、秩序を守る日本人は、災害時にも、身勝手な行動を取るものは少なく、協調性を保ちながらも、状況が改善されるまで、じっと耐える。
電車でもそうだ。何らかのトラブルで止まってしまった時でも、そこで暴れだしたり、怒り狂う(たまに見受けるが、、、。)人はほとんどいない。
日本人にとって【耐える】ことは美徳であり、忍耐力によって、これまでに幾度の危機を乗り越えてきた。
これは日本人に染み付いた特性であり、それによって社会秩序を形成してきた。
とも言えるのではないだろうか。

未来に目を向け、この【競歩】という競技を日本のお家芸にするためには、それ相応の企業や協会からのバックアップは必至だ。
そのためには、根本である【人々が求める数】をまずは増やすこと。
それに比例し、選手たちは結果を出し続けること。
それが【価値】あるものかどうか。
最後は第三者が判断するのであろう。
【そのもの(自分自身についてもそう)の評価は他人がするのも。】
それは私のモットーでもある。評価は当人がするものではない。

現実問題として、どれだけの国民がこの競技に感心を持っているのか。
お家芸と呼ばれるようになるには、これからまだまだ、いばらのみちを歩まなければならないだろう。

しかし、少し目を向けてみて欲しい。
3時間以上にも及ぶ、長い長いレースの中には、日本人が世界で活躍するための要素は集約されている。
限りない可能性を感じる。

なので、まずは東京オリンピック。
【表彰台独占】で世界を席巻してもらいたい。

 

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