物事の本質をとらえる(後編)

2017年11月08日

物事の本質をとらえる(後編)

選挙も終わり、我々有権者は、それぞれの思いを胸に、明日の政治に少しは期待を抱いてみる。
果たして何が変わるのであろうか、、、。
毎回思うのだが、選挙のタイミングは、何かを良い方向に変えるためではなく、自分たちの地位をより多く保守できるタイミングで、衆議院を解散し、選挙に向かって行っているとしか思えない。
その度に、国民の税金は使われていく。あー、、、ほんとに、、、物事の本質はどこにあるのだろうか、、、。

さて、本題へ
前編では、イチロー選手の年齢に対する考え方、身体作りに対する考え方を紐解いてきた。
後編では、イチロー選手の最大の特徴でもある、打撃に対する考え方を記してみる。
とにかく、色んな書籍や映像、インタビューを30代後半ぐらいからを中心に調べてみると実に興味深い内容が多々有り、ここでまとめるのは少々、ハードルが高い。
しかしながら、自分なりに印象に残るものをピックアップし、考えてみたい。

柵越え連発のバッティング練習

たぶん、イチロー選手の映像を見ている人なら、わかるはずだろう。
とにかくバッティング練習の時、いきなり豪快なフルスイングで、ホームランを連発する。
試合の中で、どんな球にもうまくタイミングを合わせてバットを出していく姿からは想像も出来ないようなスイングをする。
そしてその打球は、ホームランバッターの誰よりも遠くに飛ばす。
故に、ホームラン数は多くないものの、メジャーリーグのオールスターゲームにおいてホームラン競争に何度も名前が挙がるのだ。
ヒットメーカーと言われるイチローはなぜ、このようなアプローチの仕方をするのか。

至ってシンプルに答える。
【バット振れないと、基本ダメでしょ】
その理由の一つとして、バッティング練習は、ホームランを打つためにやってるわけではないということ。
スイングの状態や感覚を確かめるために行うもの。だから、ルーティンや準備において、重要なことなんです。と語る。
流し打ちならいつでも出来る、練習のための練習は絶対にしないということも語っている。

そういえば、キャッチボールの時もそうだ、、、。
遠投でもとにかく全力で球を投げていく。
ゆるいボールを、短い距離を投げながら、徐々に肩を作っていく。
ということをしない。
まさに練習のための練習はしないということに繋がってくる。
シンプルなようで、なかなか出来るものでもない。

手が残る

私自身、プレーヤーであったわけではないが、他のスポーツに比べて、野球を観るのは年間でも一番多いと自覚している。
ルールはもちろん把握しているし、ある程度の戦術、理論は把握しているつもり、、、。
しかし、この【手が残る】という感覚はイチロー選手の話を聞いて初めて知ることができた。
どういうことかというと、バットを出してから、ボールに当てるまで、グリップを最後まで残し、ボールをギリギリまで待つ。
最後の最後まで残しておくのが【手】であるといこと。
これは、イチローの最大の特徴であって、他の選手がそうであるとは限らない。

2015年シーズン、イチローはメジャーリーガーの150kmを超える直球に苦しんだ。
メジャー3,000本安打という大記録を目前に暗雲がたちこめる。
40歳を越え、周囲からはいよいよ、肉体的な衰えが原因だと囁かれはじめた。
しかしながら、翌2016年にそれら周囲のバッシングを一蹴した。
前年度まであれだけ苦しんでいたはずの直球に見事に対応してみせた。
150kmを超える球に対して、2015年度は、2割弱の打率だったのに対し、2016年度はほぼ3割に近い数値をマークした。
試行錯誤を繰り返し、速いボールに対応するために、たどり着いた答えが、【手は最後】という概念を捨てたことだという。

いわば、命綱を離したことになる。

一般的にピッチャーが投げてから、キャッチャーに届くまでの時間は0.5秒そこそこであると言われている。
ボールを捉えるまでの時間を短縮する。
そのために、バットの軌道を短くする。
そうすることで自然と【速いボールを打つために手を早く出す】に導かれる。

それでも、最後に出た答えは、【手は最後】だという。
なんだかよくわからず、これにはちょっと矛盾を感じたが、言葉のニュアンス、感覚的なもの自分の中で理解することが出来たときに初めて納得することが出来た。

直球に対応するため、
ボールを捉えるまでの時間を短縮する
そのためにバットの軌道を短くする
そして、これまでの感覚より【速く手を出す】
【速く手を出す】
が、結局、【最後まで手は残っていた】
という。

これこそ、ものごとの本質ではないだろうか。

本質を捉えるという意味では、もう一つイチローの特徴を現すものがある。
イチロー選手は常に、ピッチャーの決め球を狙っているという。
プロの選手においても、よく言われるのが、所謂【甘い球を待つ】ということ。
甘く入った球をうまく打ち返す。一流選手がやれることの一つでもある。

でも、イチローは違った。

相手ピッチャーの決め球、カーブやフォーク、シンカーなどの変化球を狙っているらしい。
そこには実に独特のアプローチがあり、【遅い球を待って、速い球に対応。甘い球を待つのではなく、決め球を狙いにいく】
速い球に合わせることによって、手が先に出てくるらしい。
遅い球(決め球)に合わせることによって、ベース上を通過する球ならほとんど、間に合わないことはないらしい。
ファールに出来るのだという。
確かに、イチローが振り遅れるシーンはあまり見たことがない。
逆に、明らかなボール球もファールにしているシーンはよく目にする。
あれにはそういう意図があったのかと思うと、納得すると同時にその感覚に恐ろしさを感じる。

全ては失敗から学ぶ

まだまだ、話題は尽きないが、最後に
色んな一流選手、成功する企業家等の話を聞いたり、書籍を読んでみると、やっぱりそのほとんどの人たちが、多かれ少なかれ、失敗をしてきている。
ということ。
そこから、成功する人、そうでない人は何が違うのか。
やはり、それは【失敗の中から学ぶ】ことが出来るかどうか。にかかっているのだと思う。

失敗から立ち止まらず、学び、生かす。

【失敗から這い上がった人生こそ、深みがある】

とイチロー選手はいう。
長いメジャーリーグの歴史の中で3,000本安打を達成したのはまだ29人しかいない、、、。
それをメジャー16年目で達成したのは、あのピートローズしかいなかった。
イチローはその記録に並び、おまけに日米通算4,000本という大記録を達成した。

最も印象的なのは、記録達成後の会見で誇れるものは何かの問いに、

【4,000本のヒットを打つには、僕の数字でいくと、8,000回以上は悔しい思いをしてきているんですよね。】

それと常に自分なりに向き合ってきたこと。凡打(失敗)を修正する。

その事実はあるので、誇れるとしたらそこじゃないかなと思いますね。

 と答えた。
全ての答えがこの中に詰まっている。

44歳で迎える今シーズン、FAし、まだ活躍の場は決まっていない、、、。

しかし、どこにいっても、まだまだ伝説を残してくれるだろうと期待せずにはいられない。

 

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