金と同

2018年02月17日

金と同

今、記事を書き直している、、、。
なぜなら、二人の日本人選手(羽生結弦、宇野昌磨)によって、歴史は完全に塗り替えられたからだ。

昨日のSP。『異次元な演技』をみせた王者。
それを【異次元】といって、片付けてしまうほど、簡単なものではない。
こうして、高梨沙羅選手の話題を記事にしようとしている最中、羽生結弦という選手は、また一つ歴史を塗り替えようとしている、、、。
どんな精神力なのか。どれだけの技術を兼ね揃えているのか。
ちょっと想像もつかない、、、。
それだけ、昨日のSPの演技は、スペシャルなものだった。
文句のつけようのない演技。4年に一度の舞台でそれを発揮する。
2ヶ月間、試合から遠ざかった選手のとは到底思えないような、演技。完成度。
末恐ろしい。
明日のフリーでは果たしてどんな結末が待ち受けているのだろうか。

と、冒頭に綴っていた、、、。
ほんの数時間前。
この二人の日本人選手によって、新たな歴史が刻まれた。
初めて見たワンツーフィニッシュ。

特に連覇の羽生選手にいたっては、本当に凄い精神力で圧倒的な演技を魅せた。
これを凄かった。神の領域だ。
と表現してしまうことほど、チープなものはない。

でも、残念なことに私自身。
彼らの演技をうまく言葉で表現できるほどの言葉は持ち合わせていない、、、。
記録にも、記憶にも残るこの二人は、おそらく今後、語り継がれる伝説になるだろう。

さて、連日、熱戦が繰り広げられている平昌オリンピック。
まだ、羽生選手の金メダルに続く選手がこのあとどれぐらい出てくるか。
非常にわくわくしている。

目まぐるしく変わったこの4年間

これまでの熱戦。
特に印象に残っているのは、高梨沙羅選手。

今回、本当に【見事な銅メダル】と称えたい。
そう思えるのはどうしもあの4年前のことが思い出されてしまう。
思えば、4年前のソチオリンピック。誰もが金メダルは高梨沙羅で間違いない。
そう思って、そこに疑いの余地はなかった。
これまでのW杯での圧倒的な成績から、【ソチの金メダル】は彼女の首にかかるものだと確信していた。
しかし、オリンピックという舞台を経験していない彼女に、それはあまりに無秩序なプレッシャーのかけ方だったに違いない。
これまでと明らかに違った表情でジャンプ台に向かう高梨選手はW杯の時とは、全くの別人だった。
1本目を飛び終えて3位。着地でのテレマークも決まらず、不安は募るばかり、、、。
普段とは【何かが違う。】そう感じていたに違いない、あの表情。
私は今でも忘れられない。
そして、その【何か】が解らぬまま、2本目のジャンプ。
彼女は失速した、、、。
結果的にソチの風にも彼女は見放されることとなった。
若干、17歳の肩にのしかかるプレッシャーは想像以上のものだったに違いない。
我々は、彼女にそれだけのものを背負わせた。
涙をグッとこらえて、彼女は【実力がなかっただけ】と言った。
見ていられなかった。
オリンピックの全てに見放された瞬間だった。
責任の末端は、メディアにもあることを我々は、重々感じていた。

そして、実に様々な心境の変化もある中、4年の月日は流れ、迎えた平昌オリンピック。
決して、調子が悪いわけではなかった。
が、オリンピックイヤーである今期、高梨選手はW杯でまだ一度も勝利を掴みとっていない。
結果的に平昌で優勝したマーレン・ルンビ選手(ノルウェー)、2位のカタリーナ・アルトハウス選手(ドイツ)。
この2人の台頭によりW杯では苦戦を強いられた。
勝って当たり前だった4年前とは違い、各国が数段にレベルを上げてきているのが現状だ。
ルンビ選手、アルトハウス選手に至っては、4年前表彰台にすら上がっていない。
逆に4年前、表彰台に上がった3選手で、今回の平昌でメダルを獲得できた選手はいない、、、。
それだけ、女子ジャンプは競技として急激な進化をしている。
その波に飲み込まれぬよう、高梨選手はこの4年間トレーニングを積んできた。

絶対王者として迎えたソチとは違い、今度は挑戦者としてオリンピックの舞台に立つこととなった。
それでも、周りは【悲願の金メダル獲得】の筋書きを必死に作り上げる。
冷静にみれば、今期の実力、ポイント差からいって高梨選手の金メダルの可能性は4年前に比べて、限りなく低い。
しかし、4年前高梨選手がそうであったように、、、。
【勝負に絶対はない。】

即ちそれは

とは言ってみても、私自身もやはり高梨選手の金メダルには期待してしまう一人だ、、、。
というより、取って欲しい。という願望の方が強い。
4年前、ソチで【本来の、これまで通りの、自分のジャンプ】が出来ていれば、他の選手に彼女を超えることは出来なかった。
所謂、【失敗のジャンプ】だったソチでは4位。
もし今回、4年前と同じようなことになってしまったら、今度は入賞さえも危うい。
言い換えれば、失敗しても世界の4位だったソチとはまるで違う。

今回のオリンピックでは、実力を出し切って、本来のジャンプが出来たとして、、、。

それでも、上位2人が同じように本来のジャンプをすれば、高梨選手は確実に負ける。
それは疑いようのない事実だった。

だから、高梨選手が優勝することは、すなわちそれは。

彼女自身が本来のジャンプをしてプレッシャーをかけ、その上で、上位2人がなんらかの失敗をしない限り優勝はなかった。
結果として、上位3人は素晴らしいジャンプをした。
ソチの時とは違い、風もそれぞれにそこまで影響はなかったといえる。

4年前に立てなかった表彰台の1番高いところに上ることは出来なかった。
それでも、4年前に見せた涙と今回の平昌で見せた涙は違う。
実力を出し切っての3位。
【私はまだ金メダルをとる器ではない】
そう、記者会見で口にした高梨選手には既に4年後の北京が見えていた。

高梨選手自身が納得のいくジャンプが出来た。
と口にしたことが、嬉しくもあった。
その瞬間、4年前の悪夢が少しだけでも報われた気がした。

本当に素晴らしい戦い、素晴らしいジャンプを見せてくれた高梨選手の堂々たる銅メダル。
心の底から称えたい。


銀-金に良と記す
銅-金に同と記す

とはいっても、金メダルを獲るまで納得出来ないのはアスリートの性だろう。

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