観戦記

2018年07月17日

観戦記

4年間の想いを果たすにはあまりにも短い、1ヶ月ちょっとの時間。
世界最高峰の戦いは幕を閉じた。
ベテランと若手の融合、絶妙な攻守のバランス。
20年前にみた、優勝トロフィーを掲げた主将は、今度は名将として歴史にその名を刻んだ。
ディディエ・デシャン監督。
かつて、ジダンやアンリ、トレゼゲなどのスター軍団をまとめたトリコロールの主将は、今大会絶妙な采配で監督としての手腕をいかんなく発揮した。
とにかく攻守においてバランスのとれたフランス代表が印象的だった。
準決勝、決勝はとくに安定感のある戦いぶりをみせ、20年振りの王座に返り咲くこととなった。
5大会ごとに初優勝が生まれるといわれていたワールドカップだけに、クロアチアの初優勝を期待せずにはいられなかった。
しかし、決勝トーナメントからメンバーの入れ替えもほとんどなく、3試合の延長戦を戦い抜き、試合間隔もフランスより1日短いクロアチア酷過ぎる戦いを強いられた。
一時は同点とするものの、今大会から導入されたVARにより、前半の終盤に与えてしまったPKが痛手となり、後半勝負の構図を描けず、悲願は達成出来なかった。

振り返ってみると物心ついた時に初めてみたのが、94年のアメリカ大会。
オウンゴールにより、悲惨な事件を招いてしまったこの大会は、カナリア軍団、ブラジルがPK戦の末、優勝を決めた。
決勝戦の相手、イタリアの至宝ロベルト・バッジョがPKを外したことが話題になったのもこの大会。
【PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持ったものだけだ】のちの名言ともなった。
日本代表が初出場した98年フランス大会。
残念ながら日本は予選リーグ1勝も出来ずに、大会を去ることになった。
ブラジルの連覇を阻止したのが、今回優勝した開催国のフランスである。
そして、この大会、ダークホース的存在だったのが、今大会準優勝に輝いたクロアチア代表である。
得点王にも輝いたスーケルやボバンなどの中心選手の活躍で3位という素晴らしい成績をおさめた。
2002年、日本と韓国による初めての合同開催。
アジアの両雄が大会をかく乱させた。
ブラジル、ドイツという強豪国の対戦となった決勝戦では、ブラジルが再び王座に返り咲いた。
06年のドイツ大会はヨーロッパ勢が活躍する大会となり、イタリア代表が前評判を覆す、手堅い戦いで94年、PKで敗れた決勝戦のリベンジを果たす。
10年の南アフリカ大会では、無敵艦隊と言われ、これまでワールドカップを制したことのなかったスペイン代表が初優勝を果たした。
華麗なパスワークで切り崩すそのスタイルは【ポゼッションサッカー】と評され、世界のトレンドとなった。
14年の前回大会はサッカー王国ブラジルので開催。
誰もが、自国優勝を確信して止まなかった。
衝撃の結末は、準決勝に訪れる。
ブラジル対ドイツ。1-7というワールドカップ史上、例をみないブラジル代表の敗退に、自国民のプライドはボロボロにされた。
ポゼッションサッカーから【シンプルに縦に力強いサッカー】へとシフトチェンジしたのもドイツの影響からだろう。

そして今大会。
新生フランス代表の優勝。
明らかにヨーロッパ勢の力が目立つ昨今。
これから世界のサッカーはどんな方向に進んでいくのだろうか。

結局、スーパースターと称されるブラジルのネイマール。アルゼンチンのメッシ。ポルトガルのロナウド。
彼らは未だにワールドカップの優勝トロフィーを掲げていない。
サッカーとはまさにそこが面白いところであって、スーパースター一人で勝てるものではないが、時に一人のスーパースターがチームを勝利に導くことも往々にしてある。
4年後のカタールで、時の運ではない勝利の神様を確実に手にすることが出来るのは一体どこの国なのか。
フランスが優勝を決めたその瞬間から次への戦いは始まった。

いかがでしたか、中村昌哉コラボコラム?中村昌哉コラムについてはこちらから


新着フットサルウェア