フットサル日本代表のキャプテンを経験した市原誉昭選手と小宮山友佑選手の対談企画

ボアスコンプラス店長の森田が、日本を代表するフットサル選手であり、屈指のフィクソである市原誉昭選手と小宮山友祐選手にインタビューをさせていただきました。2011年にも、お二人の対談(師弟対談 - 日本代表の4番の重み)を行っていて、今回はその第2弾となりました。


2012年のフットサルワールドカップについて

ワールドカップの話だけど、カズさんが入ってかなり注目されたよね。友祐は今回で3回目のワールドカップ出場なんだよね。初出場のとき、2回目と、3回目とフットサルワールドカップを経験して、日本のフットサルのレベルも徐々に世界に近づいているなっていうのは感じるでしょ?

そうですね。でも、一概に日本のフットサルのレベルと世界のフットサルのレベルの差が縮まりましたと断言をできない部分はあります。世界のフットサルのトップレベルのポルトガルやブラジル、スペインなどと比べると、まだまだだなと思ってしまいます。今回のワールドカップは、日本がチームとしてどう戦っていくのかを見せられたんだと思います。日本がワールドカップで世界のトップクラスと戦うには、我慢をして、ディフェンスをして、ポゼッションを高めて、少ないチャンスをものにする。最後の切り札としてパワープレーをして、常に諦めずにベクトルを合わせていかないとねだめですね。

対談をする市原誉昭選手と小宮山友祐選手

ずっと一緒にやってきたメンバーもいれば、カズさん(横浜FC・三浦和良選手)や薫(名古屋オーシャンズ・森岡薫選手)のように最後の最後に入ったメンバーもいるので、融合っていうのは難しかったと思います。それでも、あの短期間でチームとしての熟成度はすごく高かったと思います。見えないところでは選手個々で色々と意見はあったかもしれませんが、フットサル日本代表に呼ばれた選手一人ひとりがエゴを出さずに、チームとして団結してたので本当に良かったと思います。

2008年のブラジルワールドカップの時は、サッポが監督でなんとなくチームの状況が分かってるんだけど、ミゲルが監督に就任をしてからの日本代表っていうのは、自分にとっては未知の世界。この4年間で、何が一番変わったと思う?チームとしての熟成度とか、選手個々のレベルとか色々あると思うけど。合宿の数?それとも対外試合の数?Fリーグが開幕してからすぐのワールドカップと、それから4年後のワールドカップってやっぱり違うんだよね?

もちろん、選手の個々のレベルが上がったと思います。ミゲルがフットサル日本代表監督になって、世界トップチームとの試合数は増えたけど、それらは親善試合が多く、世界の強豪と試合数は増えたけど、真の意味での負けてはいけない試合、負けられない試合の数は減りましたね。それに対して、サッポの頃は毎年アジア選手権があって絶対に負けられない試合があったんですよ。代表の重み、難しさ、厳しさを感じられる真剣勝負の場が毎年あった。一概にどちらが良いかと言えないが、代表の重みを感じられたのはサッポの時代の方が感じられましたね。

ミゲルは沢山の選手にチャンスや可能性を与えてきたと思います。でも、この4年間で僕が感じたのは、若い選手にチャンスを与え続けて、結果が出たのは、逸見(元 名古屋オーシャンズ・逸見勝利ラファエル)と翔太(バルドラール浦安・星翔太選手)だけしかいなのかなって思うんですよね。若い選手で日本代表に入ってきて、2012年のワールドカップの最終選考に入ってこれなかったのは、ミゲル監督が期待した以上に伸びが少なかったからだと思うんですよね。それは親善試合ではなくて、実践経験が少なかったんですかね。またこれからの4年間でそういう選手が伸びてきてくれると、もっといい相乗効果があると思います。

彼らが前回のワールドカップを経験して、次のワールドカップに行くのと、前回のワールドカップを経験せずに次のワールドカップに出場するのってやっぱり違うはずだよね。

本当にそうだと思います。洸太郎(バルドラール浦安・稲葉洸太郎選手)、のぶ(バサジィ大分・小曽戸允哉選手)、亘(名古屋オーシャンズ・北原亘選手)は、前回のブラジル大会を経験して、今回のタイのワールドカップに出場したので、その経験値があって、自分を全部出すパフォーマンスを発揮できたのだと思います。

フットサルワールドカップを経験をした市原誉昭選手

彼らが絶対的存在になれないなら、まだ友祐が代表の選手としてプレーをしたほうがいいと思うでしょ?選手としているなら、代表へのこだわりっていうのは絶対あるはずだもんね。

もちろん、選手としてやっている以上はその気持ちはありますけど、実際にフットサル日本代表に選手を呼ぶのは監督ですからね。

リーグ戦で何回も試合をするんだから、いいプレーができるかどうかだよね。存在感や、特別枠ではないが、年齢は多少いっていても、それを覆すだけのプレーができればいいんだよね、きっと。

薫(名古屋オーシャンズ・森岡薫選手)はそれができるから、日本代表にいられると思うんですよね。ミゲル監督の言い方では、『薫はまだ代表に入ってから日が浅いから、代表にしては若手だ』みたいな言い方をしていますが、年齢を凌駕するプレーができていますからね。 チャンスは自分が手繰り寄せるものだし、与えてもらうものでもあると思う。Fリーグでどれだけのことができるかが重要だと思います。木暮は引退しちゃいましたけど、僕らの世代は、年齢的にもしょうがないという状況ではあるが、自分より若い選手は多いし、まだ可能性が絶対あると思う。薫やその下のてつ(シュライカー大阪・村上選手)とか。僕の2歳下の選手とか、前まで呼ばれていたけど、浩平(デウソン神戸・原田浩平選手)とか呼ばれなくなった選手とか、まだ可能性があると思います。

でもさ、友祐とか木暮の年齢だってまだまだ可能性があるよ。そこから上はないのかって思っちゃうよね。選手としてやっていて線を引かれると、それより上はないんだって正直ないと思ってしまう。

でもそれは、ミゲルがフットサル日本代表の監督に就任したときに、俺の1歳上からは、全員召集されなかったんですよね。武志君(元湘南ベルマーレ・岸本武志選手)、いな君(元バルドラール浦安・稲田祐介選手)、けんた君(ペスカドーラ町田・藤井健太選手)、ゆうき君(ペスカドーラ町田・金山友紀選手)含めて。若返るってことはやっぱりすごい大切なことだと思うし。

若返るというのは大事なんだけど、線を引かれてもね・・・納得させるようなプレーができれば、絶対にまたチャンスは来るはずだからね。

真剣な表情で話す小宮山友祐選手

そうなんですよね。ミゲル監督は、すごく先を見据えている方だと思うんです。日本代表のチーム育成と、選手育成の両方を見ているし、色々考えられていると思うんです。ミゲル監督自身もワールドカップで結果を出さなければ、日本で契約がなくなるという状況の中で、ワールドカップで結果を出さなければならない。ワールドカップでの活躍未知数な若い選手と、Fリーグのトップと、サッカー界のレジェンドとをどう組み合わせれば、よりベストな選択かっていうのを選ぶときに、現実的なほうを取ったんですよね。Fリーグの得点王を入れて、サッカー界のレジェンドを入れたことで、マスコミの注目度や認知度も一気に上がった。結果も出して、ご自身のステップにもなったと思うんですよね。自分のその先のステップにしたし、それがなければ今の監督はなかったし、監督が代わっていたと思います。その点はすごく先を見据えられていると思うんですよね。さらに、現在召集されている選手の中でも、逸見はまたちょっと異質だとは思う。若い選手をどんどん入れていかないと、下から入れていかないと強くならないですからね。

そうだよね、でも上の年代の人たちも『はいどうぞって』どんどん受け入れていくんじゃなくて、若い世代と上の年齢の人たちが上手く調和して、融合していけば、一番の理想だと思う。

僕や木暮の代表にかける想いは、てつ(村上哲哉選手)とか、亘(北原亘選手)とか、のぶ(バサジィ大分・小曽戸允哉選手)とか、しょうた(星翔太選手)には伝わっていると思うんですよね。代表って、順番待ちのものではない。世界と戦うのは難しさがあったりする。若い選手はなんでも好き勝手にやるけど、うまくいかないときや、試合に出られなくてふてくされるっていうのがいっぱいあると思うけど、チームとしてどれだけフォローできるかって大切だと思うんですよね。木暮はその点を気遣って、色々な選手の間に入ってコミュニケーションをとったりしてたけど、僕も木暮もいなくなって、誰がやるのかなって、不安になってしまいます。

フットサル選手として年齢との戦い

フットサル選手・市原誉昭選手

友祐はどうなの?今後もまだまだ日本代表目指して現役ばりばりで行くんでしょ?俺は勝手にそう思ってるんだけどさ。

イチくんはいつまでフットサルを現役選手として続けていきますか?自分、最近よくそれにぶち当たるんですよね。選手としていつまでやるのかなって。正直、ワールドカップである意味一区切りじゃないですか。それでうちは子供も生まれたし、ちょっと一回まっさらにして考えるようになって、どこまで選手を続けようかって考えている自分がいるんですよね。でも、子供にプレー見せたいなって思いもあり、自分の中で激しい葛藤というか、悩みがあるんですよね。

自分はね、別にそんなことは全く考えてないんだよね。いつになったら辞めるとか、もうすぐ引退なのかなとかね。ただ気持ちの面でも、もう無理なのかな、限界なのかなって思ったらそこからは早いんだなって感じるんですよね。でも気持ちが選手として続けたいって思う限り、肉体ってトレーニングを続けていれば、それなりに衰えないでしょ。

イチくんは28歳くらいのときよりは、体が動かないなって感じません?あれ、疲れがなかなか抜けないなとか?

確かにそれはあるかもしれないけど、違った意味でプレースタイルや練習の仕方を変えたりしてるよ。上手にサボるって言ったら変だけど、ここで無理したら足つるなとか、肉離れするなとか、そういうのが自分の中でわかってきて、逆に自分には、もう少しここを鍛えればいいのかっていうのがわかってきて、研ぎ澄まされていく部分もあるんだよね。

そうですね、それもあると思います。こないだ、誰が言ってたか忘れたんですけど、前よりうまくなったねって言われたんですよ。20代の時よりも、今のほうが上手くなったって聞いたときは、素直に、えっ、そうなのかな?って思いました。ちょっとびっくりしたというか、意外だったんですよね。でも、出来なくなったことも多いんですよ。

年齢とパフォーマンスとの葛藤に苦しむこともある小宮山友祐選手

でも、出来なくなったことがあっても、出来るようになったことも多いんじゃない?フットサルってそういうものだと思うしね。

自分でできることに対しても自覚があまりないんですよね。どうなですかね?

例えばさ、昔は勢いで『がぁ~!』って行って、勢いでボールを取れていたんだけど、今は取れなくなってるとか。ここ行ったらやられるなとか、そういう経験値は逆に上がってるはずだもんね。

年齢を重ねて、プレーのスタイルや質も少しづつ変化をしてますよね、やっぱり。イチ君の言うとおりだと思います。

ただ昔は、こういうプレーしてたのになあとか思うこともあるよ。昔の自分の試合のビデオとか見ると結構前でシュートとか打ってたんだよね。だからって20代みたいなプレーをすべきかというとそうでもないし。チームの中での役割が重要で、どういう役割をしなければいけないのか。それが重要なんじゃないかな?

ドリブルが上手い選手や、シュートが上手い選手がいて、その分守りが苦手な選手が多いなら、自分は守らなけれればいけないと思うんですよね。浦安はオフェンシブな選手が多いじゃないですか。だから自分は役割としてディフェンスがもっと求められることが沢山あるんです。

確かに、友祐はディフェンダーっていうイメージが周りの人から見てもあると思うからね。でも、それもやっぱりバルドラール浦安で求められることと、フットサル日本代表で求められることは別なんでしょ?

フットサル日本代表に行って感じたのは、守っているだけでもダメなんだなって思いましたね。世界を見ると、ネット(ブラジル代表のフィクソ/ベッキの選手)にしてもキケ(スペイン代表のフィクソ/ベッキの選手)にしても、世界のトップクラスのフィクソって攻めるし、えげつないシュートを決めるじゃないですか。目指すところは両方だなって思うと、バルドラール浦安ではうーん、どうなんだろうと思いますよね。守ってるだけってことはないんですけどね。

海外に目を向けると、本当に色々な素晴らしい選手が沢山いるよね。友祐が上げた選手もフィクソでありながらも、素晴らしいドリブルをしたり、攻撃の起点になったりするからね。フィクソという概念を超えたプレーだよね、本当に。友祐も数年前よりも攻撃をする機会が少なくなったんじゃない?

そうなんですよね。自分はポジションがそういった選手たちとかぶるので、自分と重ねて見たりするんですよ。実際に、自分の得点も減ったんですよね。シュートが下手くそになったんですかね?最近は本当に点が取れていないんですよ。Fリーグ2年目で15点取ったことがあるけど、2012-2013のFリーグのシーズンは4点だった。得点数も落ちているんですよね。でも、チームとしてみると失点は減っているし、順位も去年より1個上がっているんですよね。守るだけがフットサルじゃないので、攻撃面や、ピボで受ける、気のきいたパスを出すことはまだまだできてないから、その質を高めたいっていうのはあるんですよね。

ピヴォやればいいじゃない?今まで散々色々なピヴォと対戦してきたでしょ?どんなプレーをされるのが嫌とか、分かってるんじゃないの?試合の時じゃなくて、練習の時だけピヴォでもいいと思うし。

今からですか!?意外に難しいですよ!今までの自分がやられていた側ですからね。でも、あのポジションって本当に特殊だと思うんですよ。だから、あのポジションができる選手はすごいなって思う。でも、ポジションに拘らずに、自分が持ったプレーの選択肢や幅を今でも広げていきたいと思っています。代表にいた頃よりは、正直肩の荷が下りた部分があるんですよね。日本代表は常にがっちりとした決まりがあったんですよ。浦安はそんなに決まりもないんですよね。だから、自由にプレーをしてもいいのかなって思ったり、今までのプレースタイルを貫いていかないといけないとも思ったり。色々と葛藤があるのは事実ですね。今回、一度代表から外れて肩の荷が降りたし、好きにやっていこうかと思ったりもしてます。でも、それではまた呼ばれなくなっちゃいますからね。

感情的にならずに、したたかなプレーを目指したら?プレースタイルを変えるっていうのはどうなの?

自分はそこが本当に下手なんですよね。感情的な部分を残しつつ、気持ちは今のままでっていうのが出来ないというか。内面ではなくて、プレーをしたたかにする。。。難しいですよね。

そうだよね、友祐と言えば気迫のこもったガッツポーズっていうイメージもあるからね。気迫の籠ったプレーと、プレー後の雄叫びっていうの?でも、最近ガッツポーズってしてる?減ってるんじゃないの?

そうなんですよ!ガッツポーズの機会が減ったんですよね。ファンの方々にも言われるんですよ。なんでガッツポーズしないんですか?って。ガッツポーズはしたくてするのではなく、気持ちが高揚して体が勝手にやってるものなんですよね。でも最近はガッツポーズをする前に疲れちゃうことがあって、ガッツポーズするほどの元気がないっていうのも事実なんです。


フットサル海外挑戦について

フットサルワールドカップを経験をした市原誉昭選手

浦安以外でプレーをしたいって気持ちはあるの?例えばだけど、良い条件で海外からのオファーが来たらどうする?

今ですか?ちょっと難しいですかね、今のタイミングだったら海外はまず行けないですね。

いい条件で本当にあったとしたら?1シーズンでちゃんと家族の理解をしてくれたとしたら?

うーん、その状況だったら、考えますかね。そこまでの条件が揃えば、行ってみたいなとは思うけどね。まあ、難しいとは思いますけど。

自分もそこまで条件が揃えば、行ってみたいって思うけどね。今回、洸太郎(稲葉選手)が海外挑戦に行ってたけど、すごいいい経験になると思うんだよね。考え方とか変わって帰ってきたりすると思うし、フットサルが発展途上の国とかあるじゃない。これから力を入れるマレーシアとかタイとかそういう国にどんどん若い選手が行ったらいいんじゃないかなと思う。

そうですね。若い選手は、特に行ったほうがいいんじゃないかなってすごく思いますね。サッカーは外国行って活躍するっていうあるけど、フットサルはそういうのがないじゃないですか。

もちろんスペインリーグとか第一線で活躍している人が現在はいないけどさ、逆に近いアジア圏に行くことでで、洸太郎のような若い選手は考え方が変わるんじゃないかな。若い選手は海外にどんどん行ったほうがいいと思うだよね。

海外じゃなくて、自分達がプレーをしている日本国内のフットサルリーグ(Fリーグ)を見てみると、北海道の室田みたいに名古屋に行くのもいいんじゃないですかね?

難しいことだろうけど、名古屋オーシャンズ以外にもそういうチーム体制が作れればベストだよね。もちろん湘南もすごい環境がいいと思う。アリーナで毎日練習できるでしょ。スポーツジムもある。行きたい人は自分でお金を払う必要があるけど、自分がやろうと思えばそういう環境は整っているんだよね。でも、環境だけじゃ駄目。その環境をどれだけ選手が理解して活かせられたらいいけど、今は活かしきれていない。でも、それが現状だし、例えば全員がFリーグのレベルでプロですってなったら、本当にプロなのってプレーを見せられるか不安な一面もあるよね。全チームがそうじゃないのかなって。それがどこまで続くのかが正直なところでだよね。

結局のところ、外人がいて、点が取れて、そこそこ守れて、体がごっつければ、勝てるようなリーグ。Fリーグの上位3チームの名古屋オーシャンズ、シュライカ大阪、府中アスレティックには強力な外国人選手がいる。だから、それでみんな点取れて、体張れるっていうところが大きいんですよね。それは変えていきたいっていうのはありますからね。

でもさ、Fリーグでプレーしてる海外から来る選手もだけど、国内でプレーをする選手たちも、もっと環境が整備されていって欲しいよね。こないだ、川原(名古屋オーシャンズ・川原永光選手)とか薫(名古屋オーシャンズ・森岡薫選手)と話をしたんだけどさ、名古屋オーシャンズの選手がチームから戦力外通告を受けたら、次の日から何をしていけばいいのってなるよね?

本当にそうなんですよね。そういうところが全く整備されてないじゃないですか。選手が一生懸命、プレーに専念できるような環境にしたいと思っています。

Jリーグなら、トライアウトがあって、どこかいける可能性もあるし、チーム数も違うし、受け皿も違うし、海外もある。Fリーグってそういうチャンスがないじゃん。名古屋オーシャンズやシュライカー大阪のようなチームで、戦力外通告を受けたとする。チームも受け皿があるかもしれないけど、でも仕事に就くことも重要だからね。チームだけじゃなくて、他のことも考えながらやらなきゃいけないのは大変だなと思う。でも今だからできることや、やれることって沢山あると思うから、そこはみんなが選手をしながらやるべきだと思う。もしこれが選手を引退したときに、今からやりましょうって言ったって、それから何年もかかるものだからね。選手をしながらやらなければダメ。

僕の場合は30歳を過ぎているから、このくらいの人間ってその先のこと考えるじゃないですか。でも20代の若い選手はそういうことは考えてなくて、その先の人生よりどれだけ頑張って日本代表になって活躍するっていうことしか考えていないと思うんですよね。でもそのための環境って、日本では名古屋オーシャンズしかないじゃないですか。がむしゃらに頑張って、その対価があって、知名度も上がるっていうのは名古屋しかないんですよね。

28歳くらいになったときに、環境がよくて、完全にプロとして、どこのチームにも行けるっていう環境が整っているのが一番いいよ。でもそれが実現するのは相当厳しいし、難しいとは思うけど、今はそういう環境なんだっていうのを理解してやるべきなんだよね。Jリーグとは違うってところを考える必要がある。若いときはそういうのは考えないけど、ある程度年齢になったらそういうことを考えながら、フットサルをできるのが理想だと思う。結局は、自分たちが変えなきゃいけないんだよね。

最近、バルドラールの新しくスクールを始めたんですよ。隣がサッカー塾みたいなのをやってて、またその隣が元Jリーガーのスクールをやってるんです。僕の目から見て、塾のほうが声を張り上げて、一生懸命やっている感があるんですよね。だけど、もうひとつの元Jリーガーのほうはボールの上に座りながら指導をしているんです。座って指導をするなんて、ありえないと思うんですよ。

フットサルについて熱く語る市原選手と小宮山選手

やっぱり少年サッカーとか少年フットサルは、まだまだこういう現状なんだって思った。フットサルコートでやっているのがサッカーの練習なのかなって思う。フットサルっていうのはちゃんと教えられる人が少ないんですよね。サッカーとフットサルは何が違うのかを見せられる人がいない。自分ももっと勉強をしなければならないと思う。ミニサッカーでしょって思われているのを変えていくべきなんでしょうね。僕ら選手がプレーで見せていくことも必要なんでしょうね。サッカーボールを使ってフットサルコートで練習するなら、フットサルをやりなさいって声を大にして言いたい。サッカーボールを使うと、ボールもものすごい跳ねるじゃないですか。まだ、サッカースクールですよって謳って、フットサルコートでサッカーボールを使ってサッカーを練習するならまだありだと思いますけど。

フットサルスクールって謳っているのに、使っているボールはサッカーボールだったりとか、やっていることがサッカーで、同じボールを蹴る競技だから一緒と思われたらそれまでだけど、でもそれは違う。そこがセカンドキャリアとして元Jリーガーの選手が、自分が一生懸命やってきたことを広めようとしている人も沢山いると思うけど、でもそうじゃない人もいる。生活のためや、とりあえず仕事が見つかるまで、名前だけでやっているっていう人も沢山いる。そこと、自分たちがやろうとしているフットサルスクールは違う。フットサルスクールっていう普及活動だから、僕たちは本当にフットサルをうまくなってもらいたい気持ちが強いんだよね。

他のサッカースクールに沢山人数が集まってるけど、自分のフットサルスクールには十分に集まってないということもあるんですよね。でも、良い面もあって、自分のスクールはただの人数集めではないから、子供たちを自分の目で見て指導できるんですよね。フットサルスクールって、サッカースクールに負けているっていうのがあるから、すごく悔しいんですよ。やっぱり、知ってもらうには少しずつだから時間はかかりますよね。

フットサルを多くの人に知ってもらうためにも、フットサルワールドカップが終わった後に、フットサルの日本代表チームが国内で試合をやるべきだったんだよね。2013年5月にやったけど、ワールドカップから半年以上経つと、冷めちゃってると思うんだ。代々木は平日の夜だったし、どれだけ集まったのかなって。全日本選手権はものすごい人が集まったけど、あれ以上集まらないといけないね。

やっぱり子どもたちが見る回数を増やさないと、いくら現役選手が現場でそれをやっていても意味がないし、子どもたちにもっともっと来て、見てもらいたい。ミゲル監督が講義でフットサルの重要性について話してくれるっていうのは大事なことだし、ありがたいことだし説得力がありますね。


日本におけるフットサルの認知度

フットサルワールドカップを経験をした市原誉昭選手

フットサルはまだまだ世間一般の認知度が低いっていうのが事実なんですよね。例えば、野球で打ったら絶対右に走る。打って左に走る日本人っていないじゃないですか。小さい頃にテレビで見たり、学校でやったりして皆なぜか知ってるんだと思うんですよね。フットサルワールドカップ終わった後、色々なメディアに声をかけていただいて、取材をしていただいたんですけど、大体聞かれるのは、ルール、人数、時間、手を使っていいのか、この4つなんですよね。6年もFリーグをやっていても、まだ世間の認知度ってそのくらいなんだなって。やっぱり世間の認知度って低いのかなって思いますよね。

ただ、フットサルっていう言葉は広がったよね、間違いなく。カズさんが日本代表に呼ばれて、かなりの注目度もあったと思うし、それ以外の部分でもフットサルっていう言葉は広まったと思う。

フットサルは観るスポーツではなくて、やるスポーツなんだなって。そこをどうやって観るスポーツにもっていくかが大切なんですよね。ポルトガル代表のリカルジーニョとか、薫とか逸見みたいな強烈なパーソナリティでドーンと持っていくか、チームに魅力を持たせるか。手段は限られるんだなって思います。フットサルと言ったらこの人っていうのがないと思うんですよね。バスケの田臥選手とか、ハンドボール宮崎選手みたいなスター選手。

いるじゃん、森岡薫が!あれは強烈なパーソナリティーを持ってると思うんだけどね。プレーの面も含めてね。フットサルワールドカップ2012でもかなり活躍してたしね。

ワールドカップが終わって、あいつがもっとドーンって行けばいいと思っていたけど、そうなっていないんですよね。薫も、もっとメディアに注目されるかとは思ってたんですけどね。

あとは、テレビとか、表に出ていくことって大切だよね。友祐がNHKやラジオ番組に出ているから、もっと友祐みたいな選手がメディアに出てったほうがいいんじゃないの?

でも、自分はそういうのって本当に苦手なんですよね。フットサルを広めるためなら喜んでやりたいとは思いますけど。

市原誉昭選手がフットサルの認知度について語る

歩いていてたまに声かけられたことない?街中で、小宮山さんですか?みたいに声かけられるでしょ?俺はあるよ、湘南は人口多いし、Fリーグがテレビ放送されたりもしてるから。この前もすれ違いざまに、あっ市原だ!っていう人がいたんだよね。フットサルはやっている人も見ている人も多いんだよね。

俺が北海道に行ったときに、プロスノーボーダーの高橋選手だって間違えられた(笑)。わざわざ呼び止められたから、自分でも大したものだなって思ったら、スノーボーダーの高橋さんですよねって聞かれて、ちょっとショックでしたけどね。

以前、島根に行ったときに、健太なんて、こそどさんですか?って間違えられてたからね(笑)。(大分の小曽戸選手・本当の読み方はオソド)それから、島根にいるときの健太の自己紹介はいつもコソドですって言い続けてたからね。

少しずつだけど知名度や選手の価値を上げていかなきゃいけないと思うんですよね。自分がフットサルを指導している子供たちが、18歳の頃に本当にFリーグを目指したいって思えるようなリーグにしたいし、フットサルだけで生活をできるようなリーグにしたいんですよね。フットサルを生涯かけて目指せる価値のあるスポーツだって思えるようにしたいんですよね。そのためには僕やイチ君がそこの部分を開拓して、子供たちのために良い受け皿を沢山作っておきたいと思うんですよね。僕らがフットサルの選手を引退して、フットサルやっていたのに全然違う仕事をやるのっていうのが嫌なんですよね。せっかく、フットサルをやってきて、今まで色々な経験をさせてもらったので、それと全然関係のないことをするのは違うのかなって思いますね。選手を引退してもフットサルに関わっていきたいですね。そして、フットサル界に貢献できることがしたいと思う。それには1人では無理だから。イチ君が言ってくれるてるように、現在やってるスクールからどうやって派生していけるかを考えないと、この話が全然進んでいかないと思うんですよね。

木暮が現役を引退して、選手側じゃなくて運営する側の人間になったでしょ。それで、木暮に期待する部分は大きいよね。今まで、上の人から見ていたFリーグと、中でやるのはどれだけ違うのかを示せると思うんだ。だから、そういう意味ではかなり期待をしてるんだよね。

木暮は選手としてのこだわりもあったとは思います。選手を辞めて、第2の新たな人生のスタートですからね。自分が木暮から聞いたのは、彼にとってのフットサルは代表がすべてだから、代表がなくなった今、目指すものがないから現役を退いたって。テレビでもそうやって報道されたみたいですからね。

お金に関しては、今までとは多少誤差があったとしても、シュライカー大阪とかから声がかかってれば、現役選手として続けてただろうからね。でも、現実的に受け皿がないっていう状態だからね。

木暮は今までずっとプロとして、他のことはやっていなかったから、プロ意識が強いと思うんですよね。そこのプライドというか、そこらへんもあるんじゃないですか?


フットサルの普及で自分たちにできること

まだまだフットサルはサッカーのミニチュア版だと思われているじゃないですか。そういう部分も変えていきたいんですよね。先日のフーガ墨田と名古屋オーシャンズの全日本選手権の決勝で壮絶な試合があったじゃないですかん。でも、テレビで放映されたとしても2分とかで終わる。Jリーグの試合なら、やはり注目度って全然違うと思うんですよね。そういう部分での取り扱いが変わっていくためには、僕らが世間にフットサルを発信していく必要があると思います。

ブラジルのスポーツ番組とか見ていると、スポーツが強い国とか、全国民がスポーツに対する関心が高い国は、メディアの取り扱い方も全然違うんだよね。

小田原アリーナを満員にするとかして欲しいですよね。うちの浦安総合体育館は小さいから、すぐ満員になるけど、そういう感じにしていかないとダメなんでしょうね。フットサルは観戦するスポーツっていう発想がないんですかね?ハンガリーなんてアイスホッケーで満員になるくらいですよ。

あと、絶対に強くなければならない。でも名古屋オーシャンズみたいな強さも必要になってくるよね。素晴らしいアリーナもあるし、本当に名古屋オーシャンズの環境は素晴らしいと思う。

平塚には体育館ないんですか?その方が観客沢山入るんじゃないですかね?絶対、湘南ベルマール(Jリーグのサッカーチーム)が試合やる3時間くらい前に、湘南ベルマーレフットサルクラブが試合をやればいいんですよ。フットサルが終わった後に、普通にJリーグも見に行けるじゃないですか。電車に乗って流れて来られる距離じゃないですか。

そういう風に思うのも、競技人口とか色々なところで注目してくれる人やファンを増やしたいんだよね。Fリーグも6年経ったけどまだまだもっとやらないとダメだよね。どんどん情報を発信して、普及をするために自分たちができる活動をしないといけないんだよね。

フットサルの新聞とかってどうなんですかね?フリーペーパーみたいのでもいいと思うんですけど。広告集めたりする営業も大変だとは思うんですけど。

でも広告主体になっちゃうと、正直見る価値もなくなっちゃうと思うんだよね。だから、価値のあるコンテンツがないとやっぱり見てもらえないと思うからね。

僕が引退したら、やりたいのは全試合の解説を書きたいんですよね。試合を全て見て、自分なりに解説をしてみたいなって。

全試合って無理じゃない?しかも友祐のブログみたいに熱く書かれると、読む方も大変だと思うよ(笑)。


2013年度のFリーグへの抱負

フットサルワールドカップを経験をした市原誉昭選手

チームとしては昨シーズン以上の順位を出すこと。個人としては、怪我もなく、良いコンディションを維持して、試合に出続けることだね。昨シーズンは途中で離脱してしまったからね。今季は試合数も多くなるので、怪我せずにベストパフォーマンスを保てるようにしたい。

僕はやっぱり浦安でタイトルが取りたいです。全日本でもFリーグでもタイトルが取れるシーズンにしたい。個人的には、自分のプレーの部分は置いておいて、チームが勝てれば一番嬉しいですからね。僕も、イチ君同様に去年怪我をしてしまったので、チームが勝てるために自分のすべてを注ぎたいと思います。

市原誉昭選手と小宮山友佑選手のプロフィール


撮影協力 gol cafe
撮影協力 gol cafe