チャレンジではない、チャレンジ。

2018年10月17日

チャレンジではない、チャレンジ。

とある新聞のアンケート調査で、
『電車の中での迷惑行為』として、いつも上位にランクインしているのは、「電車内での通話」「電車内で大声での会話」「座席の座り方(足、肩等がぶつかる)」等々が主なものだ。
しかし、最近、上位にランクインしているのが【カバンなど(背負っている)がぶつかる】【イヤホンの音漏れ】等らしい。
ここに注目したある企業が、通勤カバンを最初から前に抱え込んで持てるよう、薄くて機能性の高いものを開発した。
ここ数年で、かなりの普及率である、ワイヤレスイヤホンもその類の一つかもしれない。
ビジネスチャンスはどこにあるかわからないものだ。

アンケート調査の結果に戻れば、確かに電車でのマナーには気になる点は多々ある。
ルールではなく、あくまでマナー(もしくはモラルとでもいうのだろうか)なのだから個人の裁量が主になる。
ルールは【規則、決まりごと】なので、それを守れなければそれなりの罰を与えられる。
一方で、マナーとは【礼儀】を主としたものであると思う。他人が心地よく過ごすために自分がすべきこと。思いやりや心遣いが必要となる。
それとモラルは所謂、【道徳、倫理】的なものなので、もっと個人差はあるのかもしれない。道徳心。

日常生活をしていく上で、例えば「赤信号では止まらなくてはならない(救急車両等は別として)」はルールであり、マナーでもモラルでもない。
辛そうなお年寄りがいれば手助けする、体の不自由な方がいれば席を譲る。
これはルールではない。心遣いを駆使したマナーである。
要するに、電車での迷惑行為は、そのほとんどが、マナーでありモラルである。
自身の心遣い一つで他人の気持ちが変わってくる。
多くの人が快適に過ごすためには、日常生活において、ルールを守ることよりも、マナーやモラルに気をつける方が重要な場合もある。
なぜなら、先にも述べたように、ルールは守れないものにはそれ相応の裁きがあるからだ。

なぜ、こんなことを述べたかというと、開催されている「世界バレー」を観ていてふと思ったことがあった。
というか、ずっと気になっていたことがあった。
先般、開催されたサッカーW杯(ロシア大会)で導入されたビデオアシスタントレフリー(VAR)は大きな話題となった。
VARについてはコラム内でも少し触れさせていただいた。
ここ数年でバレーボールの世界大会等(確か2014年の大会から)でも採用されているのは、【チャレンジシステム】。

各チーム1セットあたり、2回失敗するまでチャレンジが可能であり、主にボールのインアウト、ボールタッチの有無、ボールのアンテナタッチの有無、ラインの踏み越し、タッチネット等の、判定に対してチャレンジが可能である。
1試合あたり実に多くの審判員を要するバレーボールであっても、ボールに触れた触れない、入った入らないの判定には人間の目には限界がある。
そういった意味では、このチャレンジシステムには大いに賛成である。
特にバレーボールは流れのスポーツでもあるので、1点が大きく勝敗を左右する場合がある。
開催中の世界バレーでは二次ラウンド、ドイツ対ブラジルでセットカウント2-2で迎えた最終セット。
ブラジルのセットポイントから得点をあげたブラジルが一度は勝利のコールをされたかに思えた場面。
ここでドイツがチャレンジを要求する。見事にチャレンジは成功し、そこからドイツが逆転。
世界ランキング上位のブラジルから、歴史的な勝利をおさめることとなった。
結果として、チャレンジで得た1点が勝敗を大きく左右した。
その後、調子の上がらないブラジルはまさかの二次ラウンド敗退となった。
これは、チャレンジシステムの導入が意味あるものの証明となる試合でもあった。

しかし、ずっと気になっていたのは、チャレンジシステムを所謂、【タイムアウト】代わりに使用するケースだ。
幸いにも日本チームはそういったことはほとんどしない。
この世界大会でも、あるチーム(ここでチーム名を出すことは控える。試合を観ている人ならすぐに気付くだろうが)は、チャレンジをする回数が断トツに多い。
その一方で、チャレンジに失敗する回数も断トツだ。
先にも述べたように、バレーボールは流れのが大きなウエイトを占めるスポーツでもある。
一度のチャレンジにかかる時間は、おおよそ1~2分程度かかる。
流れが悪いとき、タイムアウトを取る。(1セットで2回取れる)
タイムアウトの時間は実に30秒しかない。
そう考えてみても、チャレンジを【タイムアウト】代わりに使う気持ちがわからなくはない。
プロだからこそ、結果が全てであり、ルールの中で出来うることは全て駆使し、勝利を目指す。
なぜなら、選手達には、明日の生活が掛かっているから。

ただ、【観ている(観戦している)側】としては、あまり気持ちのいいものではない。
どうみても(テレビで観ていても)このチャレンジは覆らない。
というプレーでも流れを変えようとしているのかわからないが、チャレンジをする場面がある。
ただでさえ、バレーボールは他の競技と違い、審判員が多くいる。
1試合にそう何度も、誤審があるはずもない。(そんなに何度も誤審があるならそもそも審判になれないだだろう)
これはチャレンジではない、チャレンジだ。

話は冒頭に戻り、チャレンジシステムをタイムアウト代わりに使うこと(意図は違うかもしれないが)は、
そういった意味では、マナー、モラルの問題(違反)である。
ルールでは、ない。
技術は進歩する一方で、VARも含め、こういった面での問題点をこれからどうクリアにしていくか。
というのは一つ、大きな課題でもある。

昨今、医学(医療)の正解でもAIが導入され始めている。
数年前までは考えられなかったロボット手術(実際の操作は人間がする)は既に多くの手術で保険適応されている。
今度は、AIときた、、、。
医療は日進月歩、進化(発展)し続けている。
東京オリンピックでは、スポーツ界において日本の技術的革新と思いやりのある革新的な礼儀作法の頂をみたい。

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